MyCryptoHeroes誕生秘話:ブロックチェーンゲームに挑戦した男たち
「MyCryptoHeroes×ダプマ」の第一回として、どのようにして「MyCryptoHeroes」が誕生したか?そのバックストーリーについて寄稿いたします。
熱海合宿とコインチェック事件
それは、2018年1月26日。忘れられない日である。
私(玉舎直人 現double jump.tokyo COO)と、スマートアプリ代表取締役の佐藤崇氏(前職モブキャストの前任取締役)、3月末のモブキャスト退職を目前としていた上野広伸(現double jump.tokyo CEO/CTO)の3人は、予てより検討していたブロックチェーン分野での新事業について具体的な企画をすべく、熱海の旅館にて合宿をしていた。
事業企画の概ねの方向性は、ブロックチェーン技術を活用したトークンエコノミーの構築と、そのプラットフォームと核となるサービス/コンテンツの開発についてであった。
その裏で、あの事件は起こっていた。そう、コインチェックのNEM流出事件である。
我々はヘビーなNEMホルダーでもあったので、合宿そっちのけで、深夜の記者会見とみるみる下落していくNEM板にかぶりついた。
そのため、深い議論ができないままではあったが、プラットフォーム志向の佐藤はウォレット事業(後のGO Wallet)を、サービス/コンテンツ志向の玉舎はDAppsゲーム事業(後のMyCryptoHeroes)を、それぞれ立ち上げて行こうということになった。
ブロックチェーンゲーム専業会社 double jump.tokyo設立
帰京後の2月、熱海合宿を踏まえ、後のdouble jumpの創業メンバーとなる、上野、玉舎、中山(DLEの沖縄子会社ちゅらっぷす取締役)、高宮(現MCHコンテンツディレクター。名作「モンスターファーム」の生みの親)の4人が東京青山に集まり、具体的なゲームの企画が検討された。
この段階で次の3つの企画コンセプトが決まった。
① 開発予算的にもビジネス規模的にも有名IPを使用することはできないので、無料で使える最強IPの一つ”歴史上の英雄”をアセットとする。
② 既にDAppsのスタンダードとなりつつあったETHのブロックチェーンを使いつつもGAS代とスケーラビリティ問題に対処するためオフチェーンとのハイブリッドとする。
③ 開発予算を圧迫するグラフィックリソースの制作コストの節減のためドット絵とし、ユーザーが自由にエディットできるようにする。
仮タイトルは「クリプトヒーロー」とした。
これを開発すべく、4月の新会社設立を目指し、玉舎が具体的な企画と事業計画をまとめることとなった。
上野のモブキャスト退職後の4月3日、double jump.tokyo株式会社は設立された。
“double jump”は上野の命名
会社設立は、上野、玉舎、高宮の3人でおこなったが、設立当初より、中山のちゅらっぷすの親会社であるDLEが資金支援することが約束されていた。
幻のホワイトペーパー
当初の「クリプトヒーロー」のファイナンススキームはICOであった。
ICOには、トークンセールの参加者にプロジェクトの目論見を説明する”ホワイトペーパー”が必須である。
まずは、上野と玉舎のdouble jumpでの最初の仕事はこのホワイトペーパーの作成であった。(高宮は参加していた前プロジェクトが遅延していたためジョインがゴールデンウィーク明けとなってしまっていた)
しかし、コインチェック事件以降、仮想通貨に対する規制圧力が高まり、ICOの実現性が不透明なものとなってしまっていた。
そのため、いわゆる2号仮想通貨ではない、ERC721ゲームアセットによる新たなファイナンスモデルを検討せざるを得なくなったのだが、これで調達できる資金はICOの1/10以下であると試算され、これだけでゲームを開発することは到底不可能であった。
結果、エクイティでの資金調達をおこなうこととなり、ホワイトペーパーは当初の目的とは異なるBtoB向けの資料となった。
ホワイトペーパー作成のもう一つの目的は、本事業の金融庁への確認である。
策定はブロックチェーン分野に知見ある創法律事務所の斎藤先生、片山先生と慎重に検討をしながらの作業となった。国内で前例のない事業であり、従来のゲーム企画にはまったくなかったプロセスゆえ、多くの時間と労力を要した。
完成したホワイトペーパーのタイトルは、「ブロックチェーンを活用したTrading Asset Game “My Crypto Heroes”」、そこには現在のMCHの基本となるエコシステムの設計がほぼ記されていた。
幻となったホワイトペーパー
残念ながら一般には公開されない幻の資料となってしまった。
ホワイトペーパーの完成後の5月7 日、会社設立時から支援をいただいていたDLEの資本を受け入れ、double jumpはDLEの小会社となった。
第1次開発体制とイーサエモンショック
資金調達の完了と同時に開発体制の構築を猛スピードでおこなった。
上野も高宮も短期開発を得意とした開発スタッフであるので、プレセールおよびβサービスを「今夏」とした。(日本の夏は結構長い^^;)
最速で開発するために、double jump、中山の沖縄ちゅらっぷす、竹村也哉氏のプラチナエッグ(現在CryptoDerbyを開発運営)の3社による16名の開発体制を構築した。
当初のMCHは、オンチェーンとオフチェーンのハイブリッド設計。アセット管理のみにブロックチェーンを使うという、ほぼオフチェーンゲームであった。
ブロックチェーン部分をdouble jumpが、オフチェーン部分はちゅらっぷすとプラチナエッグで開発することで、多拠点・並行開発で短期開発を実現しようとしていた。
5月のゴールデンウィーク明け、開発スタッフが一同に会した合宿を東京新大久保の一軒家でおこなった。3社3様の会社、深夜にまで及ぶ会議を経て、概ねの開発仕様とスケジュール、役割分担が決まった。
企画初期のキービジュアル
しかし、我々はこの仕様に潜在的な不安があった。
ブロックチェーンゲームを開発するために設立した会社、DLEの小会社化してまで資金調達をしたにもかかわらず、開発予算と工数のほとんどがオフチェーンつまり普通のゲームの開発に割り当てられていたのである。
開発スタートを目前とした5月28日、上野と玉舎は、「MyCryptoHeroes」のホワイトペーパーを持って、東京でのミートアップで知り合ったブロックチェーンゲーム開発の先輩である「イーサエモン」のアーキテクトであるNakaさんを訪ねシンガポールに飛んだ。
「こんなのDAppsじゃない。なぜもっとブロックチェーンを使わないんだ?セキュリティはどうするんだ?透明性は?こんな設計で未来はあるのか?」
ちょっと極端だが、それがNakaさんの意見趣旨であった。
我々は強いショックをうけると同時に、不安も顕在化した。
この仕様のまま開発してはいけない。我々はブロックチェーンゲームの会社である。DAppsを開発すべきだ!
その夜、シンガポールのバーから、上野は前職の部下であったもっとも信頼のおける2人のエンジニア(満足と田中)に、早急にプロジェクトにジョインしてほしいとの電話をした。玉舎は、中山に一旦現在の開発を止めて、体制から再構築することを伝えた。
ちゅらっぷすとプラチナエッグには迷惑をかけてしまったことを、この場で、あらためてお詫びしたい。
しかし、この決断によって、double jumpはブロックチェーンゲーム専業会社の本質に、ちゅらっぷすはVR分野の開発に、プラチナエッグは予てから進んでいたCryptoDerbyの開発に、それぞれ舵切ることができた。
それぞれの道で得たノウハウをもって、また協業できる日が来ると信じている。
第2次開発体制とLoomNetwork
我々はMCHの再設計と、新体制の構築を急いだ。
6月から、先の2人のコアエンジニアと、高宮のテクモ時代の同僚だったデザイナーの納口がジョインした。ゲームデザインはちゅらっぷすの目取真が出向で残ってくれた。
16名の体制から6名の体制に一気に圧縮されたが、まさに精鋭部隊である。7月からはオオキマキ氏(現BlockBase代表)が参加してくれた。8月には慶応大生でCryotoAgeの石川がジョインした。
8月当時の開発風景
再設計の中で、ETHは捨てずGAS代とスケーラビリティ問題への対応のため、いち早くPlasmaへの対応を表明し、ゲーム用のサイドチェーンとしてプロダクトが動いていたLoomNetworkを採用することを決めた。
「今夏」に残された時間はわずかである上に、Loomという未完成プロダクトに手を焼きながらも、体制をコンパクト化したことによって、意思伝達は密接かつ高速化し、意思決定は迅速になり、開発は急ピッチで進んでいった。
プレスリリース時のキービジュアル(あえてドット絵であることを隠した)
恐らく、人数の多い旧体制では、技術的にも仕様的にもチャレンジの多いMCHは、こんなに早く開発することはできなかったであろうと思われる。
11月現在でもMCHの開発体制は10名である。ちなみにあのイーサエモンも同規模
資金調達とアドバイザー体制
新たな開発体制も整い、プレセールとバトルβへのスケジュールがみえてきた7月3日、我々は追加の資金調達を岡本吉起氏率いるでらゲー(モンスターストライクの開発会社)とDLEよりおこない、MCHの開発が完遂できる十分な資本金(約1億円)に増強。
同時に、顧問弁護士の斎藤先生に加え、出資にもご参加いただいた日本のトップゲームプロデューサーである岡本さん、公認会計士でトップブロックチェーンゲーマーの根本さん、古くからブロックチェーン技術に携わっているコンセンサスベイスCEOの志茂さんにアドバイザーに参画いただき、アドバイザリー体制を構築した。
新体制以降、MCHプロジェクトがスムーズに進んでこられたのは、この強力なアドバイザリー体制も大きな要因だったと思われる。
デザイン方針についてもアドバイザーに意見を
そして、9月13日、プレセール&バトルβの実施ついて発表。
いよいよMCHの第一歩がスタートするのである。
現在のキービジュアル
【おまけ】おなじみのヒーローのドット絵化前の原画
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