簡単解説!イーサリアムのトークン規格ERC○○の一覧まとめ
ERCとは?
イーサリアムのトークン規格を表します。
Ethereum Request for Commentsを略してERCと呼んでおり、これはイーサリアムの技術提案書とも呼ばれています。
各提案によってERC○○という番号が振られるようになっているので、現在は1000個以上の提案書が出ているということでしょう。
しかしその中でも実装されるのは、ほんの一部です。
ほんの一部と言っても、すでにかなりの数のERCが実装されているため、ここでは色々なERCの規格について紹介していきます。
ERC20
今のところ一番使われているトークン規格だと思います。
話題のREP(Augur)などもERC20を使ったトークンです。ICOで1番使われている規格なので、ご存知の方も多いでしょう。
ERC20規格を作成したことによって、トークンの一括管理が行えたり、送金等も同じネットワークに統一することができています。
ERC223
ERC20の上位互換と思ってください。
ICOなどに参加したことのある方は経験があるかもしれませんが、ERC20では送金のアドレスを間違ってしまうと、そのままGOX(消失)するようになっていました。
1つの通貨でも多いものでGOXした額はなんと1億円を超えていると言われています。もちろんそれらは戻ってくることも再発行されることもありません。
そこで誕生したのがERC223です。この規格では万が一送信先のアドレスを間違った場合でも、トークンが送り返されてくるような設計になっています。
そうすることでERC223規格のトークンは送信時にGOXすることはなくなり、ホルダーの資産が守られる形となりました。
ERC721
仮想通貨ゲームを行う上で欠かせないのが、このERC721トークンです。
こちらはNFT(Non-FungibleToken)と呼ばれます。日本語に直訳すると代替不可能なトークンと言われ、主にゲームのキャラクターがこれに該当します。
ERC20や223は価値が全く同じものであるのに対し、ERC721はそれぞれの特徴を埋め込むことで、それぞれが違う価値を持った資産となります。
もっとイメージをしやすくすると、同じキャラクターでもレベルが変わるとステータスも変わりますよね。そうなるとレベル1のキャラとレベル20のキャラでは価値が別物となります。
ゲーム内アセット(キャラなど)を売買する仮想通貨ゲームにはピッタリのトークン規格ということです。
詳しい説明については「NonFungibleTokenの内容を解説」にまとめてあるので、後ほどご確認いただければ幸いです。
ERC621
別名はRFT(Re-FungibleToken)。
トークンの供給量を自在に増加または減少させることができます。CDやアート作品などの著作権と所有権の混在する資産など相性がいいでしょう。
複雑な仕組みは省きますが、著作権を持つ人がNFTを発行し、その閲覧権をRFTで発行します。それが欲しいという人にアクセス権や著作権を与えていく仕組みです。
例えば、ミュージシャンがCDをNFT(所有権)で作成すると同時にRFT(アクセス権・部分的所有権)も作成します。そのCDを聞きたいという人はRFTを購入し、音楽を聴くことができるようになります。
もちろんその他にもこのCDが聞きたいという人が増えれば増えるほど、CDの価値は高まる仕組みです。
またCDのアクセス権が不要になったユーザーはそのトークンを売却して収益も上げることができるようにもなっています。
アクセス権などをトークン化することで、現社会の問題でもある海賊版の対策も出来ますし、トークンの流動性によってCDの価値も決めることができるというのが、このERC621の最大の特徴と言えます。
ERC864
考え方は少しERC621と似ています。こちらの場合はNFT自体の所有権を分割しようというトークンです。
これまでのNFTでは、そのトークンの所有者は紛れもなく1人しかいませんでした。自分で育てたゲームのキャラは他の誰のものでもない、自身のものですよね?
ただERC864を利用することで、NFTのような分割が不可能なトークンを分割所有しようというのがこのERC864となります。
ERC948
サブスクリプション(月額や定期購入)の課金モデルを実現するトークンです。
これまでイーサリアムのトークン規格では、分割支払いやその場での支払いということは可能でしたが、定期的に行えるトークンはありませんでした。
しかしERC948であれば、サービスの利用者からストップがかかるまで自動でトークンの引き落としが出来るようになっており、分割払いとはまた違った支払い方法を取ることができるようになります。
この規格を使ったオンラインサービスなども今後出てくる可能性はありますね。月額制の仮想通貨ゲームなどにも利用できそうですね。
ERC998
こちらも仮想通貨ゲームなどでよく使われるトークンです。
ERC998はERC721同士やERC20などのトークンをパッケージ化する性質を持っています。
これによって複数のアセットを一括で送信することが可能になり、スムーズにゲームのやり取りが行えるようになります。
この技術を使うことで、ゲームのキャラと装備のパッケージ売りのような使い方もされるのではないかと期待されているトークン規格です。
ERC1155
Enjinが開発した話題のイーサリアム規格です。
こちらも仮想通貨ゲームで利用されることとなるのですが、その特徴はERC721(キャラ)とERC20(ゲーム内通貨)の両面性を持ち合わせているということです。
このことによりERC1155のトークンを使うことで複数のアセットを一括で送ることも可能ですし、1度の送信で複数のユーザーにも送ることが可能です。
このことによってこれまでアイテムの送信など1つ1つの作業をその都度行わなければいけなかったことが、まとめて行えることで、より高速な処理が可能となり、快適に送受信を行うことができるようになります。
更にはこの性質がDappsの開発にも影響します。既存のコンシューマーゲームなどは、1つのゲームにつき、約10万アイテム存在していると言われています。
Dappsを既存のゲームに近づけるためには、このアイテムを1つ1つ処理しなければなりませんでした。しかし、それには膨大な手間がかかるため、現状はほとんど手付かずと言った形となっています。
ただERC1155ではアイテムの一括送付や1回のトランザクションで複数の送付先にアイテムを送信することができることによって、処理の工程が大幅に削減され、既存のゲームに近い形での開発が可能とされています。
ERC998と似た性質を持ってはいますが、パッケージ化されているものか元々その両面性を持っているののかという違いがポイントとなるでしょう。
こちらの規格については「ERC1155とは?できることや特徴まとめ」で紹介しているので、確認してみてください。
ERC721x
LoomNetworkが開発したERC721の拡張型トークンです。
簡単に言えばERC1155の複数のトークンが同時に送信できるといった機能がERC721でも対応可能と言うものになります。ERC1155では対応できなかったERC721に対応しているツール(Etherscan、Rarebits、Trust Walletなど)にも対応しています。
またERC20とも類似性があり、コードの読めるユーザーや開発者はこのトークンで何が行われるのかもわかりやすい(コードが読みやすい)と言った特徴もあります。
このトークンはゲーム開発だけでなく、企業の優先株式や普通株式、制限株式にも活用できるようになると言われているので、今後の活用方法などにも注目が集まります。
まとめ
イーサリアムのトークン企画であるERCの一部を紹介しました。
現在発表されているものでも、今回紹介したもの以外にもかなり多くの種類のものが存在しています。
今後もトークンの利便性向上のため、今以上の規格が出てくると思うので、その時はまた改めてまとめたいと思います。
イーサリアムのトークン規格も技術の進化として重要ですが、スケーラビリティ問題を解決するシャーディングの技術もまた注目しておきたいポイント。
色々なトークンが出てきても、ネットワークが悪ければうまく機能しませんからね。
シャーディングの技術については、Zilliqaのものになりますが、基本的な考え方は同じなので、こちらの「スケーラビリティ問題を解決するシャーデングの解説」を読んでみてください。