【NFT市場7月版】NFTアナリストが見る国内外マーケットの動向
NFTアナリストnorinakataさん寄稿
世界のマーケットプレイス9ブランドの比較表です。黄色ハイライトの項目が優位性のある項目になり、nanakusaは5項目で世界と戦える要素を兼ね備えています。その中でも私のイチ押しNFTの収益分配の項目はコラボレーションを促進する上で大事な要素で現時点でnanakusaとKnownOriginのみ #NFT #nanakusa pic.twitter.com/wR2Z9URBBE
— NORI (@NORIWTS) June 25, 2021
ダプマ新コンテンツ始動!
今回から定期的にNFT関連の市場動向についてNFTアナリストのNORIさん(@NORIWTS)に各月のマーケットの動向を調査してもらうことに。
非常に伸びを見せる市場ですが、その細かな内容が確認できるので要チェック。
この1ヵ月の動向をしっかりと把握できる内容となっているので、トレンドや市場がどう変化しているのかなど知りたい方は内容をご確認ください。
7月市況分析
2021年2月に突如と訪れたNFTのトレンドから一転、仮想通貨の大暴落を経て7月は一部のクリプト有識者の予想より早くNFTの第二フェーズの波が来ることとなった。
販売金額の波を大きく牽引したのは、大きく3つの要因。
- PLAY-TO-EARNゲームx DeFi革命
- 第二のコレクティブルの波
- 新興プロジェクトの台頭
主にこの3つである。
PLAY-TO-EARN ゲーム x DeFi革命
まずは2018年からクリプトの世界に参戦している「Axie Infiinty」。
今や最も成功したブロックチェーンゲームは「NFT meets DeFi & Gaming)」を活用したPlay-to-Earn(遊びながら稼ぐ)のコンセプトで革命を起こしたのをはじめ、様々な要因が重なり、7月は大飛躍の月となった。
単月売上720億円で先月成長率+446%、Landの販売やScholarship制度も助長してユーザー数が大幅に増加(Discordメンバー数 約59.7万人)。
Discord内のScholarshipのチャンネルでは10代・20代の若年層が切実にAxie Infinity保有者にアピールしている様子が印象的でこの現象の力強さを体感できる。
成功した理由
- Play-to-Earn
- ゲームとブロックチェーンを絡めたゲームを融合して遊んで稼ぐ形式
- トークンエコノミー
- 「AXS」のトークンを発行して長期保有者に特典
- コミュニティビルデイング
- DiscordやSNSを中心に強固なコミュニティの形成エリア
- 開拓
- 「発展途上国」「英語圏」で新たな稼ぐ手段に
- デジタル労働の創出
- Axie保有者に雇ってもらうスカラーシップ制度などによってデジタル上で稼ぐ方法を創出
- メタバース
- Landの販売(段階的に販売、合計# 90,601)
アクシーの成功によってPlay-to-Earn文脈を強化するゲームは続々と増加中。
6/24にBinance marketplaceのローンチを果たしNFTへの参入を試みているBINANCEはCryptobladesとMyDefiPetが伸びてきており、2つのタイトルで7月は約140億円近くの売上。
やはりBinanceにとってはDeFiの文脈が入る方がNFT市場に入りやすく、最終的にアートに行き着く縮図になると考えられる。
その他にもPOLYGON上のゲーム、Zed Runも馬を買い、レースをして賞与を得て、子を産んで売って収入を得る形式で着実に勢いが出てきている(日本人にとってはダービースタリオンなど通って来ている人などには馴染みやすいのでは)。
そしてウォレットユーザーでは高い数字を誇るALIEN WORLDSもLANDやTLMトークンのSTAKINGの文脈を追加して挽回を計る試みを行っている。
第二のコレクティブルの波
※参照:https://boredapeyachtclub.com/#/home#roadmap
これまでのコレクティブルはHashMasksの形式を発展させて展開をさせてきたが、VCのサポートを受けてもはやトークン化したCryptopunks以外目立って成功したプロジェクトはなかったと言っても過言ではない。
※現にCryptoPunksはこれまでの月間最高記録146億円を叩きだしているが、それ以外は初回の売上以降動きが見えづらかった
しかしそれはBored Ape Yacht Club(通常BAYC)の出現によって情勢が変わる。
10,000BAYCのコレクションは最初こそゆっくりのスタートでそれぞれ0.08ETHで販売されたが、5月以降NFT保有者に特典を与えロードマップを提示して飛躍的に売り上げを伸ばす。
ロードマップの内容は以下の通り。
ロードマップ
- 特定の空間「THE BATHROOM」でアートを15分かける権利
- エクルーシブなストアを展開(Tシャツ、パーカー、その他のグッズ)
- 流動性プール(トークン)を配布
- BAYC Lofi Radio youtube program
これらの取り組みによって成功を収めて6・7月は40億円越えが続いてトッププロジェクトの仲間入りを果たした。
7月は多くのコレクティブルやプロジェクトがこの成功に続く月となる。
新興プロジェクトの台頭
一方、コレクティブル以外で注目を集めたのは、ArtBlocks。
同プロジェクトは2017からCryptoPunksを購入して多くのインスピレーションを受けたsnowfroがはじめたアートプロジェクト。
ArtBlocksの仕組みはOn-Demand-Generative-Art(好きなスタイルを選択して、仕事の料金を支払うと、アルゴリズムによってランダムに生成されたバージョンのアートコンテンツがアカウントに送られてくる仕組み)である。
同プロジェクト内の種類は以下の3つに分類される。
- Curated Projects
- Artist Playground
- Factory
2020年10月からはじめた同プロジェクトは段々と人気を集めて7月に全体の3位の販売金額68.2億円を記録して先月成長比+471.4%を達成。
現在のOpensSeaでのフロアプライス(平均価格)は0.52ETHとなっており、セカンダリーセールスも順調に展開されている。
マーケットプレイスに視点を移すとAxie Infinity・OpenSeaの2つのプラットフォームが大幅に売り上げを伸ばして約1,027億円を達成。
この2大ブランドが成長する一方、他のマーケットプレイスは現状維持となった。
ポイント
- Axie Infinity 7月に大幅UP→約720億円(先月比:+446%)
- →Play-to-Earnブーム/Land販売/Scholarship
- OpenSea 307億円(先月比:+137%)
- →新興プロジェクトやコレクティブルの集中/ユーザー増加
- OpenSea以外のマーケットプレイス:$35,500,128 (約40億円)
- →*#5~#9合計金額
- 全体-Axie Infinity: $359,857,570
- →先月$199,782,736
- 全体-Axie Infinity・OpenSeaを除く:$75,598,067
- →先月比:94.7%, Jun Sales # $79,768,012
NFTの単体作品としての上位15NFTの内10NFTはCryptoPunkであった。
過去最大の売上を記録して継続してCryptoPunkはハイセールスを続ける可能性あり。その他Genesis Landが好調なAxie Infinityが3/15で勢いそのままにチャート入りした。
多くのサービスに「メタバース(仮想空間)」がキーワードとして含まれてきている中、NFTが実装可能なメタバースのウォレットユーザー数としてはDecentraland/SANDBOXの2大ブランドが85.8%を占める。
同時にAR/VRの可能性が模索される中、AR関連メタバース「Arcona & SuperWorld」も数を伸ばしつつある。
ユーザーのアクセスのしやすさではCryptovoxelsも人気だがウォレットユーザー数では、新しく土地開発されるスピードがマイペースなので広がりはゆっくりである。
今はサービスのアップデートに注力しているフェーズと思われる。
国内の動向
渋谷の寿司屋「銀座渡利」とクリプトの有識者で構成されるDAOと一緒に仕掛けるNFTプロジェクト「SUSHI TOP SHOT」。
寿司職人の華麗なる包丁さばきをトレーディングカード(動画)にした企画で7月7日(日)のウニを皮切りに毎日77NFT(同じネタ)を5MATICで販売。
NFT取引所として国産マーケットプレイス「nanakusa」で取り扱いをした。
その結果、合計539NFTが完売して大きな話題に。
$SUSHIトークンで飲食店の決済が出来たり、音声透かしでNFTを送付出来る取り組みを仕掛けていて目が話せないプロジェクトの1つである。
もう1つ話題のプロジェクトは日本のクリプト職人の集団が手掛ける「Metaani」。
可愛いネコ型のアバターが踊る姿が印象的であるが、本プロジェクトのユニークなところは「踊り」「可愛いアバター」「コラボによる発展性」。
その他にもエアドロでMetaaniNFTがもらえるキャンペーンは人気ですぐに上限枚数が配布されることとOpenSeaにミントされたNFT内にメタバースがある演出で話題となった。
初回のEM!氏コラボMetaaniは2.3ETHで完売。
最後に世界各国で7月はNFT関連のイベントも開催。日本も同様に開催されてフィジカル展示ではBAEマーケットプレイスが主催した原宿Ultra Super Newが行われた。
その中で今回ご紹介するのはCrypto Art Week Asia in Tokyo(※CAWA in Tokyo)
今年1月にシンガポールで開催された第一回から拡大したアジアのNFT祭典で二回目は300名以上のクリエイターが参加。
日本からは50名以上が参加して東京・大阪・福岡と開催された。
フィジカルとバーチャルの融合を目指した東京の開催では、メディア露出の効果もあり、計2,118名の来場者となって注目を集めたと言える。
※上記はフィジカル会場やテレビ放映の様子
Check:インタビュー!CAWA 日本初の複合イベントを終えた感想
7月総評
7月はNFT市場が再度大きな波を経験する月となった。
Play-to-Earnの波は引き続き継続すると見られ、NFT・DeFi・メタバースの連携はより一層加速すると想像できる。
NFTのコレクティブルやゲームもこぞってロードマップを作り、トークンを発行して保有者にインセンティブを提供することを行っている。
〇〇-to-Earn(例:Learn)は派生してNFTのユーティリティは引き続き模索されることになるが、スモールコミュニティを形成してエコシステムを作り出すことがより具現化された時間となった。
今後に関しては、これまでの流れを継続してアップデートしながら各事業者・業界にどのように落とし込めるかNFT xユーティリティーの可能性・模索が求められる。
同時にピュアアートやファインアートのジャンルはコミュニティビルディングやストーリーテリングなど更なる付加価値や可能性を求められる。
国内外、物凄いスピード感で情報や価値観がアップデートされる中、トレンドと本質を見極める時間は引き続き続きそうと考える。
くれぐれも皆様体調にはお気をつけて楽しんでいきましょう。
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