Plasma Cashとは?スケーラビリティ問題を解決する仕組みと特徴
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Plasma Cashとは
Plasma Cashとは、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するために提唱されていたPlasmaからさらに1段階進化したスケーリングソリューションです。
元のPlasmaでは、トランザクションのデータをメインチェーンから別のチェーン上で処理し、スケーリング問題を解消するというものでしたが以下の問題点がありました。
- チェーンの監視
- 全データのダウンロードの必要性
Plasma Cashでは上記の問題を解決することによって、更なる利便性や、スケーリングの向上を図ることが可能です。
ここでは、Plasma Cashの仕組みを始め、特徴について難しい技術の話もかみ砕きながら初心者の方でもわかるように解説していきたいと思います。
Plasmaの問題点を解消
先ほど簡単に紹介したPlasmaの問題点
- チェーンの監視
- 全データのダウンロード
この2点をプラズマキャッシュはどのように解消しているのかを紹介します。
問題解消の仕組み
プラズマでは、不正な行動にいち早く気付く(不正の証明を行う)ため、ネットワークの参加者はプラズマチェーンの監視を行う必要がありました。
またこれらの監視を行うためには、これまでのチェーンに記録されたデータを参照することで、不正な取引などが行われていないかを確認していたため、プラズマを利用する場合は、全てのデータをダウンロードする必要があります。
こうなるとプラズマを利用するだけでも、かなりの負担をかけることが分かると思います。もちろんデータはどんどん貯まっていくものなので、この負荷は時間が経つにつれ、徐々に大きくなると言うこともお分かりいただけるでしょう。
一方プラズマキャッシュではこの問題を解決するために、デポジットに対してトークンを発行しIDを付与します。こうすることで、デポジットが1つ1つ個別もの(No Fungible Token)として認識されるようになります。
そのIDをそのままプラズマキャッシュ上で発生するトランザクションに応用することで、ユーザーは自身のトークンIDとトランザクションで発生している取引の整合性を証明できるようになり、データのダウンロードが不必要となったのです。
デポジットされたものに対して、一つ一つの専用ルートを作ってあげるイメージですね。これによって、二重支払いなども問題も対応している流れを見れば、簡単に防ぐことが可能となります。
プラズマキャッシュの特徴
プラズマキャッシュの特徴についても簡単に見ていきましょう。
- 取引の追跡
- 盗難の防止
- 処理データ削減
先ほどのトークンにIDを振り分けるということで、様々なメリットが生まれるようになります。
取引の追跡
プラズマキャッシュでは、先ほども紹介したトークンにIDを付与する工程で、プラズマコインと言うものが生成されます。
このプラズマコインにIDが付与されている形となるので、IDを元にトランザクションのデータを追跡することが可能になります。万が一の場合でも簡単に追跡が行えるようになっているので、今まで以上に対処法も出てくるでしょう。
盗難の防止
プラズマキャッシュでは、プラズマコインを使ってトークンの送受信を行うので、送金が行われる場合は、所有者に通知が行く設定となっています。
もし不審なアクティビティがあった場合でも、本来の所有者に通知(警告)が行くことによって不正を防止することができ、安全性が保たれます。
またメインチェーンで不正が行われた場合でも、利用しているプラズマチェーンをIDで参照することで、本来の所有者が分かるため、資金は元に戻される仕組みとなっていることが特徴です。
処理データ削減
先ほども説明しましたが、プラズマに比べデータの処理量が格段に落ちていることが、プラズマキャッシュの最大の特徴と言えます。
トークンにIDが付与される仕組みなので、全データをダウンロードする必要がなく、必要な部分のデータさえ参照すれば、問題なくプラズマキャッシュを利用することが可能です。これにより処理するデータ量は格段に減少します。
Plasma Cash自身の課題も解決中
プラズマキャッシュにも課題と言うものは上げられていました。
良くも悪くもプラズマキャッシュではデポジットものに対しトークンIDが付与される仕組みとなっているので、10ETHデポジットしようが1ETHデポジットしようが、1つのトークンに置き換えられるようになっていました。
これがどういうことかと言うと、デポジットした金額は分割を行う事ができず、全てを使い切らなければいけないという事です。
しかし現在のプラズマキャッシュの開発では、Plasma Debitと言う技術も開発されており、こちらによってデポジットした残高を管理することができ、トークンの分割ができない問題に対しても対応しておきます。
ビットコインのライトニングネットワークに近いイメージですね。
複数のトークンIDからの取引履歴を参照し、合計残高が変化していないことを証明することによって、各IDの残高変化にも対応しているというわけです。
またこのようになると、データ処理量が大きくなり、元の問題に戻るのではないか?と言った疑問もありますが、こちらは同時に提唱されているPlasma XTで対応します。
先ほどの説明では、トークンIDが付与されている一連のトランザクションデータをダウンロードする必要がありましたが、Plasma XTでは一定のチェックポイントごとに証明データとして提出することで履歴が保存されます。
後は保存したデータ以降のチェックポイントを更新してくようなイメージとなり、何か不正があった場合に参照するデータを少なくすることが可能です。
これによってPlasma Cash以上のデータ処理が削減されることが期待できます。
まとめ
プラズマキャッシュの仕組みと特徴についてまとめました。
かなり画期的なイーサリアムについての技術と言うことがお分かりいただけたと思います。もちろん問題点もありましたが、これらのことについても問題は解決され始めているため、今後の進捗にも期待です。
特にDappsなどをプレイする場合は、このようなスケール問題の解決策が非常に重要視されているので、このような技術の概要も簡単に知っておくといいでしょう。
プラズマキャッシュはLoomNetworkのサイドチェーン技術にも取り入れられており、仮想通貨ゲームなどにも密接に関わってきます。
このLoomの「Plasmachainの仕組みと特徴」についてもまとめているので、Dappsをプレイする方や興味のある方は、ぜひこちらも合せてご確認ください。